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復元が進む町並 若胡子屋付近

 

に依頼して建造物の学術調査を行い、文化財としての価値を確認した。たまたまその調査期間中(平成3年)に襲った台風19号のため防波堤が決壊、緊急復興と重なる形で修景保存事業が行われるに至った。平成6年12月、伝統的建造物群保存地区に指定、翌年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。その範囲は御手洗地区のほぼ全域にわたり、選定されたものは450棟のうち187棟の建物の他、雁木と呼ばれる船着場など75件である。
このように国の選定が速やかであったため、当初住民間には修景保存事業について十分なコンセンサスが得られていなかったきらいがある。趣旨は理解しても、日常生活に制約を受けることが予想されるところから、いわゆる総論賛成、各論反対という反応である。ミカン産業が等閑現されているといった受けとめ方もあったようだ。しかし事業が進む過程で、見学者のガイドをボランティアで買って出る人もあらわれるなど、もともと開放性に富む港町の気質もあって、住民間の理解と自覚も大いに進んで来た。勉強会を催すと多い時で100人を超える参加者があったという。雅楽コンサートや句会、弓祭など、御手洗地区に限らないが、熱心な住民中心のイベントが種々展開されており、行政の方が後追いすることもままあるとのことである。

 

3 成果と課題
叙上の経緯から知られるように、重要伝統的建造物群の修景保存は基本的には国の事業として進められているが、その維持保存はもとより、それら文化財をどのように地域に生かして行くかは、もっぱら行政や住民サイドの努力にまたねばならない。当町では、国選定と同時に「重要伝統建造物群保存地区としての御手洗のまちづくりを考える住民組織」(重伝達を考える会)が発足し勉強会やボランティアガイドなどの活動を開始したが、その成果は見学者の増加という形であらわれはじめて

 

 

 

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